努力するキリギリス

夕刊フジ「ジェネレーションギャップ研究所」連載中。コラムニスト/プロデューサー吉見鉄也のブログです。

THE SHOW MUST GO ON

昨日、本当の「THE SHOW MUST GO ON」を体験しました

感動したけど、切なくて……

ご報告します

 

子供の頃からの知り合いの淳平君が立ち上げメンバーである

エンタメ活動集団「ボクらの罪団」の

初犯公演『プレイ』を観に行きました

19時開演、場所は中野のテアトルBONBONです

18時過ぎから夕立が……

それが徐々にゲリラ豪雨的な勢いに

その影響で劇場にたどり着けないお客様多数

ということで、15分押しで始まりました

 

内容は簡単に言えば「幽霊」モノ

成仏できない幽霊たちと曰く付きの人間たちが織りなすストーリー

前半の登場人物の拝啓紹介が一通り済み

さて、ここから、何が起点となって物語が動き出すのかな~

と、あれこれ考えを巡らしはじめたころ

始まってから60分くらい経過した時点だったでしょうか

事件は起きました

といっても、起きた瞬間には「事件」だと気が付かなかったのですが……

 

登場人物の一人が中央前方に乗り出して

セリフを言い始めた瞬間です

舞台照明がパッと消え、客席側の白熱灯が付きました

そして非常誘導灯の緑のランプが点灯

あれ、珍しい演出だな?

えぇ、何か違うぞ??

客席のかすかなざわめき

あ、これミス?

あぁ、なんか違うぞ??

舞台の上の戸惑い

そして、会場が一つの結論にたどり着きました

停電だ

 

でも、THE SHOW MUST GO ONです

この事実を踏まえつつ

薄暗い舞台の上では

光も、音も存在しないままに

半ばアドリブ、半ば台本通り、半端ない緊張感の中

物語は進みます

客席も、予想のつかない舞台を一心に見守ります

いつまで続くのか?どこまで持ちこたえられるのか?

頑張れ、役者たちよ!

THE SHOW MUST GO ONの魂を見せてくれっ!

こんなにステージ上に熱い思いを届けたくなったのは初めてかもしれません

時間では5分弱くらいしかなかったかもしれません

でも、そこにあった「MUST」の心は

会場全体を包み込む大きなものだったと思います

 

で、やはり、電気の力がないと

これ以上無理だという段階までやりきって、一旦、ストップ

検討中の時間には

役者のみなさんのリアルなアドリブで楽しませていただきました

最終的には、復旧までの時間が読めないということで

公演は中止ということに

役者のみなさんの「すみませんでした!」という言葉に

我々は拍手を送ることしか出来ません

何も悪くないから、謝らなくても良いのに

謝ることしかできない役者のみなさんの気持ちにどう応えればよいのか

切なかったです

 

その後、淳平君と合流して

作品のストーリーを聞きました

え、まさか、あの人が!

あら、これ、感動的じゃん

おお~、愛だね、愛

いや、実に良くできてます、見たかったな

役者のみなさんの見せ場も、当然後半にあるので、それも見たかったです

あと、話すことが出来ない設定の女子高校生の役の清家伶緒奈さん

どんな声だったんだろ、なんて

 

最後まで、作品を届けることが出来なくて

悔しかったことでしょう

役者もスタッフも、本当に

その悔しさ、僕は、プレゼントしてもらったと思うことにします

何か「止めちゃいたいな」と思った時に

この舞台から滲み出てきた「悔しさ」を思い出して

我に返ろうかと

始めたら、MUST、そう、THE SHOW MUST GO ON

 

本公演『プレイ』、27日までやってます

お時間あるかた、是非!

僕にはこうやってブログで書くことしか出来ませんが

とりあえず、頑張れよ、淳平君!